痛ましい海難事故が起こる度に「潜水艦救難艦」や「飽和潜水」という言葉をニュースなどで耳にします。いったいどのような船なのか?どのようなものなのか?今回は、深海という過酷な環境にも挑む自衛隊に敬意を表しつつ、如何に深海に潜る事が大変なのかを調べました。
潜水艦救難艦「ちはや」とは?
潜水艦救難艦とは、文字通り潜水艦の乗員を救出する際に使用される艦船です。
我らが海上自衛隊は現在、「ちはや」と「ちよだ」の2隻の潜水艦救難艦を保有しています。
「ちはや」は先に建造された「ちよだ」を元に大幅に拡大・改良された艦船で、一部機能を省き医療設備の強化が行われているんだそうです。
「ちはや」の正式名称は「ちはや型潜水艦救難艦」で、大阪府の南河内郡にある「千早城」が名前の由来となっています。
自衛隊の艦船は代々船名を引き継ぐのですが、この「ちはや」は四代目となるそうです。
潜水艦救難艦にはどんな機能があるの?
大きな特徴としては2つあります。
なるべくわかりやすく解説していきます。
深海潜水装置(DDS)
深海潜水装置(DDS)とは小型の潜水艇で深海に潜る事ができます。
その最大震度は約600メートル。
この小型潜水艇は他の自衛隊の船にも搭載されていて人命救助のほか、海洋や海底の調査などにも利用される事があるそうです。
私も含め皆さんも深海探査船の様なものを思い浮かべてしまいますが、実はカプセル状のもので、中にダイバーが待機し船から深海にクレーンで降ろしていくのだそうです。
内部は、後で詳しく解説する減圧という作業を行わねばならず、ダイバーはここで長時間過ごさなければなりません。そのためトイレなどの居住施設もあるようです。
大気圧潜水装置
大気圧潜水装置とは潜水士を水圧から守る為の装置を指し、ざっくり言えば潜水艦から潜水服まで全て大気圧潜水装置と括る事が出来ます。
それらは頑丈な金属で作られていて、内部は大気圧を一定に保ったまま深海に潜ることを可能にしています。
潜水艦以外は海底調査や海洋開発など一般企業でも使われているそうで、おそらく皆さんも宇宙服の様な形状をしているものをどこかで見た事があるのではないでしょうか?
詳しく解説されている方のブログありましたので、より詳しく知りたい方は見てみて下さい。
「潜水艦の事故と大気圧潜水服システム」海のサイエンスライター山田海人はじめにJAMSTEC横須賀本部から海を眺めると時折…
他にも海上から物を引き上げるためのクレーン等が艦上に設置されています。
飽和潜水とは?
ニュースで海難事故が起こると「飽和潜水」と言う言葉がよく出てきて「飽和潜水」ってナニ?って思いますよね。私もその一人なので、ちょっと調べてみました。
「飽和潜水」とは人間が深海に潜って長時間作業しなければならない時、潜水病を回避するための必要な手順となります。
深海で作業するダイバーは先ず、”減圧室”という特殊な部屋に入ります。
この部屋は深海でかかる水圧と同じ圧力になっており、この中でダイバーは徐々に深海と同じ状況に体を慣らしていきます。
私には難しすぎて良く分からなかったのですが、Wikipediaによりますと、
飽和潜水システムは、潜水中に人体に吸収される不活性ガス(窒素・ヘリウム等)がやがては飽和状態に達することを利用した方法で、大深度での長時間連続作業が可能です。
との事。
深海に潜るダイバーは、酸素とヘリウムの混合ガスで満たされた減圧室で数日間!過ごし、少しづつ加圧された状態に体を慣らしていくのだそうです。
更に過酷なのは、作業を終えた後も続きます。
今度は地上の環境に体の状態を戻すため、10日間以上狭いDDS内部で過ごす必要があり、潜水士は約1ヶ月近く外部との接触ができません。
如何に屈強な自衛隊員でもこんなに大変だとは知りませんでした。
Twitterに減圧症にかかってしまった方の写真をツイートされている方がいましたので参考に載せておきますが、深海がとてつもなく危険で過酷な場所であるかが容易に想像出来ます。
海上自衛隊の艦船を実際に見てみたい!どこで見られる?
今回ご紹介した「ちはや」や「ちよだ」を実際に見てみたいと思う方もいるかも知れません。
特定の艦船を見る事は中々難しいですが、海上自衛隊では我々一般との交流も行なっています。
広島県呉市では「呉湾艦船めぐり」を行なっています。
「呉湾艦船めぐり」は呉湾を観光船でクルージングする事が出来、潜水艦や自衛艦を間近で見学する事が出来ます。
他にもフリートウィークというのがあり、艦艇に乗る事が出来たり音楽隊の演奏、パレードなどを見学する事が出来ます。
まとめ
海難事故など起こってほしくはないですが、過酷な深海という環境においても自衛隊は手段を持っていると言う事は誇らしくもあり頼もしい存在だと改めて思います。
どうか今後、海難事故が起こらないことを祈るばかりです。